自衛隊Photo:PIXTA

ウクライナ侵攻をきっかけに、中国が台湾に対して同様の「現状変更」を迫るとの指摘が相次いでいる。台湾から111キロの与那国島を持つ日本にとって、台湾有事は日本有事に直結する。拙速な軍備拡張は絶対に避けなければいけない一方、性善説だけで国民と領土は守れない。軍事衝突が起きた場合、日本の自衛隊はどう動くべきか?週刊ダイヤモンド「激変世界を解く新・地政学」特集から再録する。

「週刊ダイヤモンド」2017年1月28日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

中国軍機およびロシア軍機の飛行に対し
航空自衛隊機が緊急発進した回数は
2014年度で943回に上った

 中国軍機およびロシア軍機の飛行に対し、日本の航空自衛隊機が緊急発進した回数は、防衛省によれば2014年度で943回に上った。これは冷戦が最盛期だった1984年度の944回に匹敵する回数で、当時の悪夢がよみがえるようだ。

 外国機に対する緊急発進の相手国は中ロがほぼ全てを占め、割合は半々だったが、15年度に様相が一変する。中国機の比率が約65%に上がったのだ。もはや、日本近くの空で中国機を見ない日はないほど、日常茶飯事となったのだ。

 中国が尖閣諸島の領有権を主張し、さらに13年には東シナ海に防空識別区を設定したことで、日中関係が緊迫している。相互不信が高まる中で、自衛隊は着々と戦力シフトを進めてきた。

 防衛研究所の飯田将史氏によれば、上図のように「陸・海・空の各自衛隊が東アジアの海洋でプレゼンスを強化する中国軍をにらみつつ、南西地域に重点を置いている」という。16年の自衛隊の動きを具体的に見てみよう。