ジャーナリストの池上彰氏撮影／佐久間ナオヒト

混迷が続くウクライナ情勢。ウクライナで、そして世界で今何が起こっているのか。特集『混迷ウクライナ』の＃19ではジャーナリストの池上彰氏が、急速に高まっている「中国も台湾に軍事侵攻する」という懸念について、分かりやすく解説。激変する国際情勢が5分で理解できる内容だ。（構成／ダイヤモンド編集部）

中国の一帯一路構想は
過剰資本輸出という帝国主義だ

　レーニンは『帝国主義論』という本で、帝国主義をこう定義しています。「高度に資本主義が発展し、資本が余ると、その資本を海外に輸出するために軍事的に進出していく」。

　これはまさしく今の中国です。中国は経済が発展し、過剰資本を輸出するために一帯一路構想を進めています。

　一帯一路のインド洋の航路と、明の時代の鄭和の航路はほぼ一致しています。鄭和はコロンブスやバスコ・ダ・ガマなどによる大航海時代よりも早くに、大船団を組んで南シナ海を制圧しながら、インド洋を通って中東まで行っています。鄭和自身はイスラム教徒でしたから、メッカ巡礼を果たしているのですね。