河野太郎・衆議院議員Photo by Kazutoshi Sumitomo

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、日本を取り巻く安全保障環境はどう変わるのか。対ロ制裁で日本が果たすべき役割とは。『混迷ウクライナ』の#15では、外相や防衛相を歴任した河野太郎・自民党広報本部長を緊急直撃した。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)

プーチン氏は「読めない人」
日ロ平和条約交渉は仕切り直し

――ロシアがウクライナに軍事侵攻しました。今後の動きをどう予想していますか。

 プーチン大統領はウクライナにかいらい政権を仕立てて、ロシア軍を常駐させる狙いでしょう。当初はウクライナがもっと脆いと想定していたのかもしれませんが、激しい抵抗が続いています。

 ただ、ロシアが物量作戦に踏み切れば、ウクライナが持ちこたえるのは難しくなります。

 ロシア軍の死傷者が想定を上回ってくる中、軍内部や軍人の家族から不満が出るかもしれません。経済制裁でロシア国民の生活が厳しくなれば、政権への風当たりも強くなるでしょう。

 それがどこまで大きくなればプーチン氏を止められるのか。これはなかなか読みづらいです。

 先行きは極めて厳しいといえます。ウクライナ国民にとって厳しいのはもちろんですが、仮にウクライナ占領が恒常化すれば、ロシアに対する経済制裁は続きます。世界経済への悪影響も続くのです。

 200万人とされたウクライナの避難民の数もまだ増えています。経済制裁と避難民の支援で疲弊する欧州を米国やカナダ、日本などで支えていかなければなりません。

――3年前の日ロ首脳会談でプーチン氏と会っていますが印象は。

 正直、何を考えているのか読めない人でした。安倍晋三元首相は何度も会っているので、多少気心は知れていたかもしれません。ただ、平気で時間に遅れるなど推し量るのが難しい人物でした。

――日ロ関係の正常化に向け平和条約の交渉をしてきました。

 残念ながら、このシリーズは終わりました。一度仕切り直しです。今後の交渉も今の段階では見通すことは難しいです。

――ロシアに対する制裁は世界経済に深刻な影響を与えそうです。