「社内プレゼン」は、ビジネスパーソンにとって必須のスキルです。どんなによいアイデアがあっても、組織的な「GOサイン」を得なければ一歩も前に進めることができません。そのためには、説得力のあるプレゼンによって決裁者を説得する技術が不可欠なのです。
そこで役立つのが、ソフトバンク在籍時に孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取り、独立後、1000社を超える企業で採用された前田鎌利氏の著書『完全版 社内プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)です。
本書では、孫正義氏をはじめ超一流の経営者を相手に培ってきた「プレゼン資料」の作成ノウハウを、スライド実例を豊富に掲載しながら手取り足取り教えてくれます。読者からは「大事なプレゼンでOKを勝ち取ることができた」「プレゼンに対する苦手意識を克服できた」「効果的なプレゼン資料を短時間で作れるようになった」といった声が多数寄せられています。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、わかりやすい「A3一枚」資料をつくるコツを解説します。

10秒でざっくりと内容がわかる「A3一枚」資料の作り方写真はイメージです。Photo: Adobe Stock

「A3一枚」に情報を詰め込みすぎてはいけない

 プレゼン資料を「A3用紙」一枚にまとめるルールの企業もあります。

 この方式は、意思決定に必要な情報が「A3用紙」にまとめられているため、資料の一覧性が高く、提案内容を把握しやすいという優れたメリットがあります。

 しかし、図1のように、「A3」という限られたスペースに情報を詰め込みすぎるがために、提案内容を読み解くのにかえって手間と時間がかかってしまう結果を招くことに注意する必要があります。

「重要なポイント」を目立たせる

 では、どうすれば「A3資料」をわかりやすくまとめることができるのか?

 一言でいうと、「重要なポイントを目立たせる」ということになります。さきほどの資料を修正した図2を参照しながら、具体的に説明してまいります。

 まず、提案内容のロジックを掴みやすくします。

 この資料のロジックは、「1【課題】売上・利益率ともに減少傾向にある」→「2【提案】1の課題を解決するために、インドネシアへ生産ラインを移管する」→「3【コスト】移行費用は30億円」→「4【利益予測】5年で30億円を回収することが可能」という4つの要素で構成されています。

 そこで、図2のように、それぞれのブロックに「見出し」をつけることで、ロジックを把握しやすくします。図1も4つの要素ごとにブロック分けされていますが、「見出し」がないからわかりにくいのです。

 次に、各ブロックの中身をわかりやすく修正します。

 図1の資料がわかりにくいのは、文章で表現されているためです。いちいち文章を読み込まないと、「何が言いたいのか」を把握することができないわけです。

 そこで、例えば、1のブロックであれば、「売上 前年比80%に減少」「利益率10%に減少」というキーメッセージを大きく打ち出すことで、「何が言いたいのか」を明確に伝えるようにするといいでしょう。

 さらに、グラフや図表なども、重要なポイントを強調します。

 例えば、1のブロックの棒グラフであれば、最も注目してほしい「2018年80億円」の棒のみを赤色で塗ることで目立たせると効果的です。

 あるいは、3のブロックの「費用内訳」も表として整理したうえで、「30億円」の部分のフォントを大きくするとともに、赤色にすると一瞬で理解することができるようになります。

 このように、「重要なポイントを目立たせる」ことを意識することで、格段にわかりやすい「A3用紙」一枚の資料をつくることができるのです。

(本稿は、『完全版 社内プレゼンの資料作成術』より一部を抜粋・編集したものです)