漫画『キングダム』作者が生原稿で明かす「累計8700万部」を支える知られざる原動力
原泰久×入山章栄 特別対談(5)
連載『漫画「キングダム」にビジネスパーソンが夢中になる理由』では、作者の原泰久氏と、経営学者の入山章栄氏の特別対談を掲載する。#5では、累計8700万部の大ヒットを支える制作現場の裏話を一挙公開。「主人公級かも…」と原氏がドキッとした意外なキャラの裏話や、初公開の生原稿も必見だ。(構成/ダイヤモンド編集部 加藤桃子)
『キングダム』は二人の少年が史上初の
中華統一を成し遂げるまでの成長ドラマ
入山 キングダムって、戦いで戦士一人一人が地べたをはってるところから、王族や権力者同士の俯瞰した争いまでが同時に進行する。だからビジネスパーソンがすごく読みたがるんだと思うんです。原先生の場合、すでに漠然とした構築物みたいなのがある。一方で、そういうのがないまま突き進むタイプの漫画家さんもいますよね。
原 そうですね。むしろ、後者のタイプの方が多いのではと思います。描き方ってそれぞれですが、ライブ感のほうが強いのは強いんですよ。「今、最高に面白い形を描いてアウトプットする=常に面白い」っていうことなんで。
ただ、キングダムの場合は背景がものすごく複雑なんで、ライブ感だけでやっていたら、すぐ打ち切りになっていたと思います。
入山 なるほど。
原 なのでなるべく、前々回の話にもあったように一気に複数の国を同時に描かずに戦国七雄を一国一国、定着させるように描いてきました。そうすると、ベースを整えて定着させるまでに大分巻数がかかってしまったんですよね。
――実は、今日特別に集英社さんから見せていただけるっていうものがありまして。
入山 えっ!なになに。
担当編集者・大沢さん 生原稿です。ちょっと、ネタバレになっちゃうんですけど、いいですか。