漫画『キングダム』生原稿で作者が語る、「サラリーマンはかっこ悪い」の勘違い
原泰久×入山章栄 特別対談(1)
連載『漫画「キングダム」にビジネスパーソンが夢中になる理由』では、作者の原泰久氏と、経営学者の入山章栄氏の特別対談を掲載する。#1では初公開の生原稿や漫画のコマと共に、「ビジネスパーソンがキングダムに熱狂するワケ」を探る。(構成/ダイヤモンド編集部 加藤桃子)
『キングダム』は二人の少年が史上初の
中華統一を成し遂げるまでの成長ドラマ
入山 今日は『キングダム』のファンを代表して、原先生にいろいろ聞きたいことがあるんです。なんでここまでビジネスマンに読まれているのかっていう、物語の魅力の話。そして、サラリーマンの経験を経て漫画家に転身した原先生のご経験を含めた執筆にまつわるお話なんかもお伺いできるとうれしいな、と思っています。
漫画『キングダム』が教えてくれる
「サラリーマンはダサい」の勘違い
入山 今、ベンチャー起業家の間で『キングダム』が大ブームなんです。もはや、「『キングダム』を知らない」と言うのはちょっとヤバいくらいの状況です。この現象、原先生はどういうふうに思われてますか?
原 僕がもともと漫画を描き始めたのは、「同世代を感動させたい」という想いがきっかけだったんです。『キングダム』を描き始めたのは30歳頃でした。だから、大人の方々が読んでくれてるのはうれしいですね。
なぜビジネスパーソンに読んでもらえているかと考えると……。僕自身がサラリーマンを経験していたからというのは外せないと思います。僕、学生のときは、映画監督とか、クリエイティブなものを作る人になりたいと思っていたんです。
入山 そうですよね。
原 だからサラリーマンにはあまりなりたくないなと思ってた。結局すぐ漫画家としてデビューできず、大学院を修了した後にSE(システムエンジニア)として一般企業へ入社しました。正直なところ入社前は、あんまり前向きな気持ちじゃなかったんです。でも、いざ入社すると、サラリーマンの世界はすごく面白かったんですよね。