ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

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アフガニスタンってどんな国?

 アジア大陸の中央に位置し、イランやパキスタンなど6カ国に囲まれた内陸国です。国土の大部分が山岳や高原で、気候は乾燥しています。

 世界最貧国の一つで、アジアの中で乳児死亡率は最も高く、識字率が最も低い国です。識字率の男女差が大きく、イスラム社会における男女差別の結果といわれています。

 19世紀末にイギリスの保護領となり、1970年代に共和制に移行しましたが、クーデターによって社会主義路線をとる政権が発足しました。

 旧ソ連が軍事介入し反政府勢力との戦闘が続きましたが、旧ソ連軍の撤退で政権は崩壊しました。この間の内戦は国を疲弊させます。

イスラーム原理主義が国を支配

 その後も全土で戦闘が続く中、1994年に設立されたイスラーム原理主義を掲げるタリバンが急速に勢力を拡大し、厳格なイスラームによる政策をとっていきます。

 タリバンの中心となったのはパシュトゥン人ですが、多くの民族集団の存在が国の統一と安定を阻んでいます。タリバンが世界遺産であるバーミヤンの磨崖仏を破壊するという事件も発生しました。

 2001年のアメリカ同時多発テロ事件を受けて、アメリカ軍を中心とした多国籍軍はイスラム過激派と関係していたタリバン政権を攻撃し、部隊の駐留も行いました。2021年に外国の軍隊は撤退しましたが、それと同時にタリバンが復活して全土を掌握しました。

アフガニスタン・イスラーム共和国

面積:65.2万㎢ 首都:カブール

人口:3746.6万 通貨:アフガニー

言語:ダリ語(公用語)、パシュトゥー語(公用語)、トルコ系諸語
宗教:イスラームスンニ派85-90%、シーア派10-15%
隣接:トルクメニスタン、ウズベキスタン、中国、タジキスタン、パキスタン、イラン

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)