ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
ジョージアってどんな国?
ジョージアはカフカス山脈の南側に位置する国です。北はロシア、南はトルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと国境を接し、西は黒海に面しています。
国土の8割は山岳地帯で、河川周辺や黒海沿岸に都市がつくられています。
日本で以前使われていたグルジアという国名はロシア語の呼び方で、ジョージア政府の要請で現在の正式名になりました。
大国の支配を受けてきた歴史があり、18世紀にはオスマン帝国、ペルシャ、ロシア帝国に分割され、19世紀にはロシアに併合されました。
20世紀になって独立し、後に旧ソ連の構成国となりました。旧ソ連からは1991年に独立し、CISにも加盟しました。
CIS(独立国家共同体)
旧ソ連の構成国で形成された国家連合。ソ連崩壊と同時に結成された。2022年2月時点での加盟国は、アゼルバイジャン、アルメニア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ベラルーシ、モルドバ、ロシア。準加盟国はトルクメニスタン。加盟国の中心であるロシアはCISの結束を強化したい意向だが、各国の利害が一致せず、形骸化の傾向にある。
ロシアとは軍事衝突を経て国交を断絶
しかし、カフカス系のジョージア人が多数を占める国の中で、イラン系の多い南オセチア自治州が独立を要求すると紛争に発展。南オセチア独立を支援するロシアが軍事介入したため、ロシアとの関係が悪化し、2009年にCISから脱退しました。
同じくロシア国境付近にあるアブハジア自治共和国やトルコ国境にあってイスラーム色の強いアジャール自治共和国でも独立をめぐる紛争が起こっています。
2008年以来、ロシアとは外交関係を絶ち、EUとNATOへの加盟を目指しています。
農業では穀物類のほか果実や茶が生産され、ワインが特産品です。ワインの発祥地として知られ、古代から伝わる土壺での醸造法「クヴェヴリ」は、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。
ジョージア
面積:7.0万㎢ 首都:トビリシ
人口:493.4万 通貨:ラリ
言語:ジョージア語(公用語)、ロシア語、アルメニア語、アゼルバイジャン語
宗教:ジョージア正教(国教)83.4%、イスラーム10.7%
隣接:ロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)