米国ではロシア産の魚介類の輸入が禁じられたが、夕食の皿に盛られた白身魚のフライは、ロシアの水域内で捕獲された魚が使用されているかもしれない。米政府は3月、ロシアのウクライナ侵攻を巡る制裁措置拡大の一環として、ウオッカやダイヤモンドなどの消費財とともに、ロシア産の水産物の輸入を禁止した。それにもかかわらず、多くのロシア産の魚が米国に入り込んでいる。水産業界の専門家によると、中国を経由する複雑なサプライチェーンによって、ロシア原産であることが分からなくなっていることが多く、米国にはそうした製品の原産地を追跡する手段がないためだという。例えば、米国際貿易委員会(ITC)の2021年の報告書によると、ロシアの漁船が同国水域で捕獲した魚の推定27%が、中国に出荷され、そこで加工された後に米国に輸出されている。そうした製品には、中国の工場で切り身やフィッシュスティック(白身魚のすり身にパン粉を付けて揚げたもの)に加工されたスケトウダラや缶詰にされたサケなどがある。こうした品目は中国からの輸入品に分類されるため、現在の制裁を回避できる。冷凍ガニは、たとえロシアで捕れたものでもアラスカ産と表示されていることが多い。
ロシア産の魚介類、制裁すり抜け米国の食卓に
中国経由の複雑なサプライチェーンで原産国が不透明に
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