いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた伊藤潤一氏。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。
負けた原因の分析が必要
プロの投資家は「投資哲学」を持って運用に臨んでいるものです。
たとえば「オマハの賢人」と呼ばれる著名投資家のウォーレン・バフェットは、長期投資を基本とするほか、企業の業績や財務などから判断する本質的価値に対して現在の株価が割高なのか割安なのかを分析し、株価が割安だと判断すれば投資するという投資哲学を持っています。
事業内容を理解できる企業にのみ投資することなどもバフェットの投資哲学を構成する要素といえるでしょう。
プロの投資家とひとくちにいっても投資哲学は投資家によってさまざまであり、投資哲学しだいで運用の仕方も変わるわけです。
投資哲学というのは、本来はプロの投資家にとって「自分の強みを発揮できるやり方」の根拠です。
しかし、ときには自分の投資哲学を疑ってしまう場面もあります。
たとえばポートフォリオに100~150銘柄を組み入れているとして、このうち小型株のいくつかの銘柄で業績予測も株価予測も外れて株価が想定外に下落してしまったとしましょう。
優れた運用者であってもこのようなことが短期的に続くのはめずらしくはありません。中長期的にはパフォーマンスは戻るものなのですが、予測が外れて株価の下落が続けば「もしかして自分の投資哲学が間違っているのではないか」という疑念が生じやすくなります。
すると「いま保有しているほかの小型株も一度、全部売却したほうがよいのでは?」などと迷い始めたりするのです。
このような迷いから逃れるのは、案外難しいものです。
そこで重要なのが、負けた原因をしっかり「表」と「裏」から検証することです。
そのうえで、発生した問題が単一の事象なのか、あるいはほかに伝播する可能性があり、売却を検討する必要があるのかを冷静に分析しなくてはなりません。
(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)