ウクライナと西側諸国の情報機関当局者らは、ロシア政府の資金援助を受けた精鋭ハッカー集団が、ロシア軍のウクライナ侵攻を支援するため激しいサイバー攻撃を仕掛けてくることを懸念してきた。しかしこれまでのところ、サイバー戦争はインターネット上の塹壕戦的なものにとどまっている。それは絶え間ない消耗戦だが、時には高度とはいえない内容の攻撃で、さまざまな被害を引き起こしたものの、戦果は限定的だった。一部の攻撃は厄介なもので、ウクライナの幾つかのネットサービスの減速、完全停止、サイトの改変、少数のコンピューター上のファイルの破壊などの打撃を与えた。他の攻撃は、ウクライナのサイバー防衛部隊の仕事を忙しくさせる程度にとどまった。しかしより最近になって、ロシア軍が戦略目標地域をウクライナ東部へと移す中で、ウクライナのエネルギー分野を狙ったもっと危険度の高い新たな攻撃が行われていることが明らかになった。これは戦争が、一層活発なサイバー攻撃を伴う新たな段階に入る可能性を示唆している。