ロシアでは行き場を失った原油がエネルギー供給網を逆流し、産油量の落ち込みが鮮明になってきた。ウクライナとの戦闘が激化する中で、ロシア経済の屋台骨に深刻な影響をもたらしつつある。
製油所では、国内外の需要の落ち込みを受けて精製量を減らすか、閉鎖に追い込まれたところも出ている。パイプラインやタンク内の貯蔵スペースは減少の一途をたどっており、油井でも生産を縮小している。
とはいえ、損失は今のところ限定的で、エネルギー業界は依然としてロシア政府に巨額の収入をもたらしている。ただ、向こう数カ月には、原油を採掘してから供給先に届けるまでに問題が生じる可能性が高い、とトレーダーやアナリストは指摘している。
こうした予兆を映し出すかのように、国際エネルギー機関(IEA)は13日、ロシアでは5月以降、日量およそ300万バレルの生産が滞るとの予想を示した。これにより産油量は日量900万バレル弱と、アナリストの予想以上に落ち込む見通しだ。
ロシアの産油量がどこまで打撃を受けるかは、アジアで新規顧客を確保できるかどうかにかかっている。米国の顧客は完全に避けており、欧州でも代替の調達先を探る動きが広がっている。IEAでは、ロシア産原油の長年の買い手が離れていったことで、中国が急いでその分を輸入している兆候はまだ見られないとしている。