米貯蓄債「Iボンド」 安全で10%近い高利回りPhoto:Michael M. Santiago/gettyimages

 金融の世界に無料ランチはない。だがこれは例外と言えるだろう。物価連動型の米貯蓄国債だ。5月以降の利回りは10%近い水準になる。

 米財務省証券「シリーズI」(通称「Iボンド」)は、3月の消費者物価指数(CPI)をもとに最新インフレ調整を行った結果、年率9.6%もの利回りが提供されることになる。米労働統計局が発表した3月のCPIは前年同月比8.5%上昇し、1981年12月以来の大きな伸びだった。

 利息は半年複利で計算され、5月と11月に見直される。Iボンドは投資先として常に売れ筋だったわけではないが、米インフレ指標の急上昇を受けて変化が生じている。

 米財務省の記録によると、過去6カ月間のIボンド発行額は110億ドル(約1兆3800億円)近くに上る。これに対し、2020年と2021年は同期間に約12億ドルだった。

「このところ話題の的だ」とチャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は言う。「Iボンドは利回りのせいで非常に人気が高い。少なくとも6カ月で見ると十分な高利回りだ」

 Iボンドは米政府の保証付きで、財務省が定める固定金利と過去6カ月のCPI変動率で決まる物価連動金利に基づいて利息が支払われる。現在はCPIが上昇基調にあるため、Iボンドは元本割れリスクが事実上ないにもかかわらず、利回りで米国資産のトップに位置する。