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【儲かる仕組み】副業の先にある「プライベートカンパニー」の7大メリットを知ろうPhoto: Adobe Stock

副業を考えるなら、プライベートカンパニーをつくってみては?

 個人事業に取り組む場合、家族名義で開業届を出すことを勧めましたが、どうせ家族を巻き込むのであれば、早めにプライベートカンパニーを作るほうがいいです。なぜなら、個人事業と比べてはるかにメリットが多いからです。

 そこで、「プライベートカンパニー」のメリットについて、くわしく説明しましょう。

1.損益通算による節税が可能になる

 プライベートカンパニーが「赤字」だった場合には、法人税がかかりません。なぜなら、サラリーマンと違って、法人では「損益通算」が可能だからです。損益通算とは、「得をした分」から「損をした分」を差し引いた分にだけ税金がかかる仕組みのこと。A事業が500万円の利益を出していたとしても、B事業が500万円の損失を出していたら、差し引き0円になるため、プライベートカンパニーとしては「儲けがなかった」とみなされて税金がかからないのです。

 ところが個人では、原則としてこの損益通算が使えません。たとえばあなたが株式で500万円の損失を出した一方で、500万円の給料をもらったとしましょう。この場合、その年のあなたの利益はプラスマイナス0円で手許には1円もお金が残らないのに、給料から容赦なく225万円もの税金と社会保険料が引かれるのです。

2.赤字繰越を使って節税できる

 サラリーマンは赤字繰越が一切できません。個人事業主の場合でも最大3年までしか赤字を繰り越せません。大きな赤字が出ても、3年でリセットされる。その結果、もし4年目に黒字となったら、その黒字に対して丸ごと税金がかかってしまうのです(なお、個人事業主として赤字を申告するとサラリーマンの場合には会社にバレるので、副業を認めている会社の従業員か、家族名義でやっている人しか赤字申告をしてはいけません)。

 ところが、法人の場合は10年間も繰り越せるため、不動産や設備などで経費をたくさん使えば10年間にわたって赤字を活用して節税するテクニックを使える。1000万円の赤字を繰り越せば、10年間に合計1000万円の黒字が出たとしても、繰り越された1000万円の赤字と帳消しにされるので、1000万円の黒字に対しては税金がかからなくなるのです。

 私が破産しかけたとき、数千万円の損失が発生したのですが、このときはまだこのメソッドを思いつく前だったので、損失を繰り越すことができませんでした。もしあの当時、プライベートカンパニーで株取引をやっていれば損失を繰り越せたので、その後、莫大な税金を支払うこともなかったはずです。とても高額な授業料になってしまいました。

3.節税できる経費の範囲が広い

 個人事業主でも、交通費、通信費などを経費にできます。しかし、法人の場合はそれらに加えて、「社員旅行」や「出張手当」までをも経費にすることができます。

 また、個人事業主は「自分への給料」や「退職金」を経費にできませんが、法人ではこれらをすべて経費にできます。「親族への給料」も個人事業主では限られたケースでしか経費になりませんが、法人ではすべて経費になります。

 日本の法人の約3分の2は赤字です(2019年度版国税庁統計法人税表)。でもこれはあくまでも税法上の赤字であって、手許にはお金が残っています。こうした広い範囲の出費を経費化して赤字にすることで節税が可能になるのです。

4.売上が小さくても、青色申告で節税できる

 個人が青色申告で節税できるのは、事業的規模に到達し、税務署から事業所得や不動産所得などと認められた場合のみです。事業的規模に達しないのに事業所得として青色申告し、節税することはNGです。仮に確定申告で事務的に受理されても、事業的規模に達していなければ、数年後に否認される可能性があります。もちろん、事業的規模に達していないのに意図的に事業所得として赤字で青色申告して、本業の給与所得と損益通算する方法は脱税ですので、絶対にやってはいけません。なぜなら税金逃れのために雑所得を事業所得だと偽って、税法で認められていない損益通算を行うことは所得税法違反になるからです。法律に違反して税金を納めない行為は、節税ではなく脱税です。

 その点、プライベートカンパニーのような法人であれば、このような心配は一切起こりません。

5.超過累進課税が適用されない

 所得が500万~800万円あたりで法人化したほうが節税できるといわれます。なぜなら法人税率は、収入額に関わらず税率が一定の「比例税率」だからです。これに対して個人の所得税には、超過累進税率が適用されるので、収入が増えるほどに税率が引き上げられる。日本人の国民負担率が増える一方なのに、法人所得課税だけはどんどん下がっている実態を序章にてご紹介しましたが、これが原因の1つです。

 なぜ私たち生身の人間よりも法人のほうが優遇されるのか。それは、そうしないと日本企業の国際競争力が低下してしまうからです。ただでさえ大企業は、人件費を削減するために近隣諸国に生産拠点を移したり、節税のために特別目的会社をタックスヘイブンに設立したり……。法人の実効税率を個人並みに高めると、日本の産業の空洞化がもっと加速してしまいます。このように、国際競争力の維持という国策のため、法人には超過累進課税が適用されないのです。

 なお、法人化の目安に幅があるのは、ご家庭によって所得控除額がまちまちですし、法人の経費もまちまちだからです。

6.社会保険料の負担増を回避できる

 個人の場合、本業と副業の合算所得が増加すると、所得税や住民税だけではなく、社会保険料まで比例して増えてしまいます。それを回避するために妻などの扶養家族名義で副業をすると、今度は扶養控除が使えなくなるし、家族の健康保険の負担が発生し、国民年金の3号被保険者資格を失うなどのデメリットも生じます。たとえば「配偶者控除」は、配偶者の年間所得合計額が48万円以下でなければ適用されません。世間では103万円の壁といわれていますが、これは55万円の給与所得控除を受けられる給与所得者限定です。個人事業主は給与所得者ではないので、48万円が壁となります。

 この点、プライベートカンパニーを活用して、妻などの身内の給料を上手に調整すれば、そのようなデメリットをすべて回避することができます。

7.相続税を最小限に抑えられる

 プライベートカンパニーでは、資本政策を工夫することにより、相続発生時の相続税を実質的にゼロに抑えることが可能です。税金と社会保険料を節約して貯まったお金や資産を、減らさずに子どもや孫の世代へとつないでいくことができる。お金持ちは、ご先祖様がこれをやってくれたおかげで、子々孫々ずっとお金持ちになれたのです。

 プライベートカンパニー最大のメリットは、サラリーマンには想像さえできない凄い節税ができること。その結果、世帯年収1000万円のモデルケースでは、20年間で1億円前後もの税金と社会保険料を節約できるのです。

 ちなみに、年収が3年後に2倍になり、5年後に3倍になったとしたら、あなたの世帯年収はいくらになりますか?

 もし1000万円前後になるとすれば、10年後にはたぶん、軽く2000万円を超えるでしょう。そうなれば、節約できる税金と社会保険料は1億円どころではありません。このように、サラリーマンの感覚では魔法としか思えないような節税ができるので、とまどうくらいお金が貯まって増え始めます。確定申告の手間は多少増えますが、会計ソフトを使えば負担感はそれほど大きくありません。

 その他にも、「会社にバレるのを回避できる」「就業規則違反を回避できる」「信用力を獲得できる」などのメリットがてんこ盛りです。これだけメリットがあるのですから、これを活用しない手はありません。

*本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』から一部抜粋し、再編集したものです。