ジョー・バイデン米大統領は8.5%のインフレと闘っていることを国民に示そうと策を弄(ろう)しているが、実際に効果を出すために同氏ができることがある。ドナルド・トランプ前大統領が導入した破壊的な関税を緩和することだ。これは特効薬ではない。しかし、物価が上昇し続ける中、連邦政府は少なくとも製品を意図的に高くすることはやめることができる。ピーターソン国際経済研究所が最近発表した論文は、賢明な貿易政策がもたらし得る具体的な効果を示している。「実現可能な自由化のパッケージは、消費者物価指数(CPI)上昇率を約1.3ポイント引き下げることができる」という。先週発表されたCPI統計によると、消費者物価は1年前より8.5%上昇している。つまり、関税を少し緩和すればインフレの相当部分を打ち消すことができ、それはバイデン氏が行っていることよりもましだ。同氏は戦略石油備蓄から石油を放出し、エタノールを混ぜたガソリン「E15」の夏季販売を許可したが、どちらもあまり重要ではないだろう。一方、貿易救済措置は「米国の1世帯あたり797ドル(約10万円)に相当し、2021年のコロナ救済措置の約半分の規模になる」とピーターソンの論文は述べている。