この10年余り、ドイツの指導者たちはロシアだけでなく、欧州連合(EU)で最も無謀かつ公然たる反欧米政権であるハンガリーも甘やかし、なだめすかしてきた。欧州と北大西洋条約機構(NATO)におけるドイツの怠慢は、ロシアによるウクライナ侵攻の際に特に顕著になった。ドイツ政府を批判する向きにとって、フランクワルター・シュタインマイヤー独大統領のキーウ(キエフ)訪問をウクライナが拒否したことは、遅まきながら正当であると受け止められた。ウクライナ戦争開戦から数日後、ドイツのオラフ・ショルツ首相は、国防費を増やし、ロシアの天然ガス依存脱却を含む政策転換を発表した。しかし、2月27日に発表されたショルツ氏の「新時代」政策は、あまりにも小さく、あまりにも遅過ぎたようだ。また、ハンガリーのオルバン・ビクトル首相が中国とロシアに融和的で、与党の「ハンガリー市民同盟(フィデス)」が市民社会、自由なメディア、司法を標的にした非民主的な政策をとっていることに対して、ドイツが寛容であることにも触れていない。