顧客が「支払い」のボタンをクリックするたびに、新しい注文が配送の混乱に拍車をかける。問題は大きくなり続けている。米コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、世界の大都市100カ所を走る配送車両の数が、2030年には2019年比で30%以上増加し、720万台になると予測。これでほぼ即時の配達が増えるものの、二酸化炭素排出量と交通渋滞の増加を引き起こし、都市生活は恐らく現在よりも不快なものになる。IT(情報技術)企業や小売業者・不動産会社は、都市環境で常時配送の負担を軽減する代替シナリオを思い描いている。空は高速移動する配送ドローンや浮かぶ飛行船型倉庫であふれ、道路や歩道には人と同じ数のロボットが存在し、見慣れた店先はオンライン配送用の自動在庫保管庫として機能する未来の姿だ。