ビル・クリントン元米大統領は2000年にベトナムの人々を前にして「われわれがグローバル化の動きを止めたり、消し去ったりすることはできない。それは、風や水のような自然の力の経済版のようなものだ」と語った。これと同じように、避けては通れないとみられているのが、ロシアのウクライナ侵攻後のグローバル化の崩壊だ。第2次世界大戦後、各国の間で貿易、資金、人、アイデアの流れは一貫して増加していった。だが、世界でバルカン化が進む中で、そうした流れは押し戻される運命にあるように見える。ロシアとその同盟諸国が一つの世界を、中国がまた別の世界を、そして米国とその同盟諸国がもう一つの世界を形成している。要約すれば、世界は1世紀前に起きたのと似た状況に陥る恐れがある。1世紀余り前には、第1次世界大戦、ロシア革命、そしてまさに地球規模のパンデミック(感染症の世界的大流行)によって、各国の対応が内向きになった。
グローバル化、崩壊ではなく変化の過程に
ウクライナ危機による自由貿易の後退は不可避ではない
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