どういう物をつくるかが、どういう人をつくり、どういう社会をつくるかを決める

「使う物に責任を持つ」ことが大事

　コンピュータでも車でも、すべて同じことが言えます。

「壊れない物をつくろうとする」ばかりで、物の使い方にフォーカスすることが、意外と少ないのではないでしょうか。

　壊れるという最悪のレベルに基準を全部置いてしまうと、物を介して育つ人間の美意識も、同じレベルになってしまうのです。

　すなわち、これはエデュケーション（学習）の問題でもあるのです。

　物を単なる所有品と捉え、使い勝手のいい、使い捨てのものとしてとらえるのか、そうでないのか。それによって物を通してどんな人が育つかが変わってきます。

「壊れない」ことに価値を置けばおくほど、そうやってつくられた物はどんどん捨てられていきます。大切に扱うことが重要視されていないため、物としての優先順位が低くなってしまうのでしょう。

　ロブマイヤーのグラスは、見た目も美しいし、飲んだときに口当たりがよく美味しい。なにより、その繊細でエレガントな形状は、「丁寧に使おう」という気持ちを喚起します。

　どういう物を使うかによって、皆がどういう意識を持つか、どういう社会になるかが変わってきます。だからこそ、「使う物に責任を持つ」ことが大事だと思います。

「そういう商品をつくっているメーカーが悪い」と言う人がいるかもしれませんが、そもそも自分たちがそれを使わなければ、メーカーもそういう商品を出さなくなるわけです。

　だから自分たちが何を使うか。

　物の背景に想いをはせられる物を使うかどうかが、世の中の大量消費の姿勢を変える第一歩だと思います。