JR九州の豪華観光列車「ななつ星」とスタバに共通する発想とは?Photo:PIXTA

新規事業を成功させるためには、「価格設定」「顧客のシフト」に加えて「顧客に提供する価値」をシフトすることが重要です。今回はいくつかの事例を踏まえて、顧客価値をシフトする方法を探っていきましょう。(ネットストラテジー代表取締役 平野敦士カール)

「顧客価値」をシフトして
事業成功の可能性を探る

 事業を成功させる上では、「顧客にどのような価値を提供するか」、つまり「顧客価値」が重要な鍵を握ります。顧客価値を高められれば、事業の成功に近づくはずです。ただ真っさらな状態でゼロから顧客価値について考えるのは、非常に難しいです。

 そこで押さえておきたいのが、既存の顧客価値を「シフトする」視点です。自社や競合の事業の顧客価値とは何かをひもとき、その価値をさまざまな視点でシフトしてみると、新たな事業の可能性が見えてくるかもしれません。今回は、そんな顧客価値をシフトする視点について、いくつか事例を交えて解説したいと思います。

【カスタマイズ、ハーフメイドへの転換】
ハーフメイド化で在庫を大幅に減らしたミスミ

 個々の顧客の要望によって、製品をカスタマイズして作り上げることで、パッケージ化された製品とは異なった顧客価値を提供することが可能です。また、あらかじめ製品を途中まで作っておき、最後の仕上げは顧客の希望を聞いてから行うという選択肢もあります。これは「ハーフメイド」とも呼ばれます。

 例えば、機械部品専門商社のミスミグループは、ハーフメイドのビジネスモデルを取り入れることで成功しています。