ホンダ、IKEA、Airbnb…成功企業の事例で分かる、ビジネスモデルの本当の「意味」Photo:123RF

戦略とビジネスモデルとの関係は、十分理解されていない。環境変化が激しい現代では、分析に基づいた、計画的な戦略はあまり役に立たない。そこで重要な役割を果たすのが、ビジネスモデルである。この記事では、前回に引き続き、戦略とビジネスモデルの違いを整理した上で、戦略を作る上でのビジネスモデルの意義を考えてみたい。(多摩大学大学院教授 河野龍太)

ビジネスモデルと戦略の
本当の違いとは?

 ビジネスモデルと戦略とは、何が違うのか。両者は、根本的に異なる概念ではない。本稿の前編で解説したように、「戦略」とは、「企業が考える競争に成功するためのセオリー」である。こうすれば成功する、という基本方針であり、その方針を実行するための施策や経営資源の選択をともなう。

 一方、ビジネスモデルとは、「顧客に価値を創造し、届け、その価値から企業が収益を上げるためのセオリー」である。そのフォーカスは、顧客が欲しいものをつくること(顧客価値の創造)と、顧客に創造した価値から収益を上げること(収益モデルの確立)にある。

 戦略との関係でいえば、ビジネスモデルとは、「戦略のビッグピクチャー」といえる。すなわち、企業が考える成功のセオリー(「戦略」)を、顧客の価値は何か、どうやって収益を上げるのか、そのために必要な経営リソースや事業活動は何か、といった重要な論点で具体化し、その全体像を一連のロジック、一つのシステムとして表現するコンセプトだ。