感性を呼び起こす
建築物に出合いに!

「和泉の扉」の入口で出入りする人々を見守る巨大女神「和泉の扉」の入口で出入りする人々を見守る巨大女神

 京王線代田橋駅から甲州街道を抜けた路地にたたずむ「和泉の扉」。さらに200mほど先には「舞都和亜」が立っています。閑静な住宅街で異彩を放つこれらの建物も梵さんが手がけたもの。それぞれ「地霊の浄化」「身体的な空間と人間の心が響き合う建築」をテーマに建てられた賃貸住宅で、黄金の髪の毛をたなびかせる巨大女神像や壁一面を覆う波状線の彫刻といった外観はもちろん、内部へ一歩足を踏み入れると、そこには予想を超える“異空間”が広がっています。

バルセロナの「カサ・バトリョ」を彷彿させる「舞都和亜」の中庭バルセロナの「カサ・バトリョ」を彷彿させる「舞都和亜」の中庭

 梵寿綱さんは1934年生まれの建築家。工業的で無機的な近代建築様式に疑問をもち、「梵寿綱とその仲間たち」を結成してアート・コンプレックス運動を開始しました。梵さんにとって建築物とは、時間や空間を超え、意識や無意識、非日常や日常をつなげ、そこで暮らす人々と共感しながら生き続けるもの。「建物は見る人の意識に語り掛けてくる」と話すように、その日の気分や目のやりどころ、時間帯にもよってまったく違った表情を見せるのも“日本のガウディ”ならではの技法です。梵さんの建物は、建築物という概念を超え、ときには生き物にも見えてくるから不思議。あなたもぜひ、“建物との会話”を楽しんでみてください。

■和泉の扉
・住所:東京都杉並区和泉1-4-8
・アクセス:京王線代田橋駅北口から徒歩8分
■舞都和亜
・住所:東京都杉並区和泉2-27-27
・アクセス:京王線代田橋駅北口から徒歩11分