脳科学の最新研究によって、「絵本の読み聞かせ」が子どもの脳にもたらすメリットが明らかになった。さらに、絵本の読み聞かせを「6歳以降」も続けると生まれる効果についても判明した。そのメリットの詳細と、効果を最大限高める「読み聞かせのコツ」について深掘りしていく。(ライター 原 由希奈)
「絵本の読み聞かせが」は子どもの脳にメリット
最新の研究で判明
国語力の向上や想像力の育成など、多くのメリットで知られる絵本の読み聞かせ。これまで語られてきたメリットは主に心理学的効果であり、その「脳科学的効果」についてはほとんど知られてこなかった。しかし、最新の研究によって、絵本の読み聞かせが子どもの脳にもたらすメリットが明らかになった。
脳研究者で博士(学校教育学)、絵本専門士でもある森慶子氏は、2015年に小児神経科医の夫との共同研究で、8歳の実子が絵本の読み聞かせを聞いたときの脳の状態を調べた。用いた装置は、脳の表面の「血流動態」を計測する近赤外光スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy)だ。
森氏はさまざまな先行研究から、「絵本の読み聞かせには脳のリラックス効果がある」という仮説を立てた。これが実証されれば、現代の子どもたちが抱える問題を解決できる可能性がある、と考えたのだ。
次ページでは、この仮説から判明したメリットの詳細と、絵本の読み聞かせを「6歳以降」も続けるともたらされる脳科学的効果について解説する。実は、効果を最大限高めるには「コツ」もある。