米国債利回りがようやくインフレ見通しに追いついてきた。これは超低金利と景気刺激策を追い風に株式市場に浸透してきた、投機的な取引に対する脅威となる。米10年債利回りはここにきて、インフレ調整後の実質ベースで投資家の損失を確実に縮小しつつある。例えば、物価連動国債(TIPS)10年物の利回りは4月19日、0%で取引を終えた(トレードウェブのデータ)。同利回りがマイナス圏を脱出したのは、新型コロナウイルス禍を受けて主要中銀が一斉利下げで景気支援に踏み切った2020年3月以来だ。ただ、利回りはここ数日は低下している。投資家がTIPS利回りに注目するのは、金融環境を示す目安とされるためだ。インフレ期待の影響を加味したベースで企業や消費者の借り入れコストが上昇または低下しているのかを知る手だてとなる。
米実質金利プラス浮上迫る、グロース株の逆風に
コロナ勝ち組に大きな足かせ、株式市場に転機
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