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スマートフォンの理想と現実

日本のテレビメーカーが意外や過去数年で一番元気!?
米国の好景気を背景に4Kテレビが賑わいを見せる
――ラスベガスCES会場から占う2013年【前編】

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第41回】 2013年1月10日
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 実際ここ数年、メーカー側もテレビ受像器の付加価値の獲得に、相当苦労してきた。2012年はスマートテレビ、2011年は3Dと、新たな付加価値の基軸を提案してきたが、いずれもいまひとつ市場に受け入れられなかった。そうした経緯を踏まえれば、批判的な見方が存在するのも、分からなくはない。

ソニーは世界初となる4K有機ELテレビ(56V型)も参考出品 Photo by Tatsuya Kurosaka

 ただ、確かに今年のCESの会場では、4Kテレビは注目を集めている。そして、日本勢が一斉に4Kテレビを発表したことで、結果的に日本のテレビメーカーは、ここ数年の中では一番元気な状況であるように見受けられる。これはテレビメーカー各社を擁護したいがための物言いではなく、冷静にCESの会場を見て回り、キーパーソンに話を聞いた、私自身の印象である。

 おそらくそれは、米国の景気が好調であることと、無縁ではない。どうしても日本から見ていると、CESはグローバルな展示会のように見えるが、その主な機能は、北米市場へ投入する製品の発表会である。従って、販売店などの商流上のステイクホルダーが、主なターゲットして位置づけられる展示会である。

 そう考えれば、米国市場の状況の如何によって、受け入れられる商品の特性が変わってくるのは、むしろ自然な話である。そして現時点で、米国の景気がそれなりの水準にあるということは、より高付加価値商品を販売する可能性がある、ということに他ならない。なにしろ昨年のCESであれだけスマートテレビを全面に打ち出していたサムスンが、今年はあっさり4Kテレビに傾倒していることからも、そのことはうかがえる。

 ただ、すでにあちこちで指摘されている通り、4Kテレビの最大の課題は、そのスペックを十分に堪能できるコンテンツが、まだ十分用意されていないということにある。今夏から徐々に提供されていくというが、浸透するにはそれなりの時間を要するだろう。

 確かに4Kテレビは、現在の標準的なHD品質を映し出す受像器としても、高品質ではある。両者を見比べてみれば、特に大画面にした場合の、既存のテレビ受像器にはアラが目立つ。しかし、それだけのために大枚をはたける消費者は、いくら米国の景気が好調だからといっても、そう多くはないはずだ。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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