ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
モンテネグロってどんな国?
モンテネグロは西部がアドリア海に面する、福島県ほどの面積の小さな国で、旧ユーゴスラビア連邦を構成した6共和国の中で最小規模です。
北西部はボスニア・ヘルツェゴビナ、北東部はセルビア、東部はコソボ、南部はアルバニアに国境を接します。
旧ユーゴスラビア崩壊後、セルビア共和国とユーゴスラビア連邦共和国が結成されましたが、独立運動が根強く、2003年に両共和国による国家連合セルビア・モンテネグロが発足しました。
2006年にセルビア・モンテネグロから独立し、現在のモンテネグロになりました。
美しい山と海の景色
国土の大半が石灰岩に覆われた山地です。国名のモンテネグロはイタリア語で「黒い山」を意味し、その代表が黒い玄武岩でできた聖なる山、ロブチェン山です。
主な産業は、豊富な観光資源を活かした観光業で、農業ではオリーブやぶどうなどが栽培され、工業ではアルミニウムなどが生産されています。
「アドリア海の秘宝」といわれるコトル湾は、ヨーロッパ最南部の氷河によって陸が削られてできたフィヨルドの湾で、海から切り立った崖や周囲に残る中世の街並みの景観が美しく、国際クルーズ船も寄港します。
また、世界自然遺産のドゥルミトル国立公園の中にあるタラ渓谷は、ヨーロッパ最大規模の渓谷で、全長約80km、最も深いところは高度差が約1300mにもなります。
モンテネグロ
面積:1.4万㎢ 首都:ポドゴリツァ
人口:60.7万 通貨:ユーロ
言語:モンテネグロ語(公用語)、セルビア語、ボスニア語
宗教:正教72.1%、イスラーム19.1%
隣接:ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、コソボ、アルバニア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)