ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
ボスニア・ヘルツェゴビナってどんな国?
ボスニア・ヘルツェゴビナは、バルカン半島北西部に位置する国です。北部から西部はクロアチアに囲まれ、東部はセルビア、南部はモンテネグロと国境を接しています。
国土の大部分は山地で、南部にディナルアルプス山脈が走り、カルスト地形が発達しています。
この国の唯一の海岸線は、アドリア海に面する町ネウムの沿岸20km足らずで、大きな港がないことから、クロアチアのプロチェ港を利用しています。
旧ユーゴスラビアからの独立
首都サラエボでは、1914年にオーストリア皇太子夫妻がセルビア人青年に暗殺される事件(サラエボ事件)が起こり、この事件がきっかけとなり、第一次世界大戦が始まりました。
第二次世界大戦後の1945年にユーゴスラビア社会主義連邦共和国が成立し、1992年に国民投票で独立を宣言しましたが、民族間の対立から紛争に発展し、3年半も混乱が続いた後、1995年に和平が成立しました。
主な民族はボシュニャク人(ムスリム人)、セルビア人、クロアチア人で、宗教はイスラーム(スンニ派)、セルビア正教会、カトリックと、多民族・多宗教の国家として知られます。
主要産業は木材業、鉱業、繊維工業ですが、1995年まで続いた内戦のダメージは大きく、産業の復興を遅らせました。さまざまな自然や文化があることから、近年観光業が注目を集めています。
ウィンタースポーツやサッカーが人気で、元サッカー日本代表監督のイビチャ・オシム氏や、バヒド・ハリルホジッチ氏を輩出した国としても知られています。
ボスニア・ヘルツェゴビナ
面積:5.1万㎢ 首都:サラエボ
人口:382.5万 通貨:兌換マルク
言語:ボスニア語(公用語)、クロアチア語(公用語)、セルビア語(公用語)
宗教:イスラーム50.7%、セルビア正教30.7%、カトリック15.2%
隣接:クロアチア、セルビア、モンテネグロ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)