ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1カ国ずつ世界の国を紹介する。

バルカン半島の国々バルカン半島の国々

セルビアってどんな国?

 セルビアはバルカン半島の中央部に位置し、8カ国に囲まれた内陸国です。

 ハンガリーに隣接する北部には、ハンガリー盆地の一角を占める肥沃な平野が広がり、首都ベオグラードをドナウ川が流れます。

 南部は高地と山地からなり、変化多い豊かな自然と中世の街並みが残されています。

 農業は、小麦やとうもろこし、ぶどう、国の西部ではラズベリーが栽培されます。工業では金属、機械(自動車)、繊維工業などが発達しています。また、亜炭と褐炭の生産は世界第9位(2018年)で、銅や亜鉛などの資源に恵まれた国です。

旧ユーゴスラビアの解体

 1991~92年かけて、旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国を構成する6共和国のうち4共和国が分離独立を宣言したため、残るセルビアとモンテネグロの両共和国が1992年に新たにユーゴスラビア連邦を結成しました。

 その後、独立を宣言したクロアチアボスニア・ヘルツェコビナでの内戦、独立を求めるコソボ自治州での内戦と戦乱に明け暮れ、2006年にモンテネグロの独立により国名をセルビア共和国と変更しました。

 2008年にコソボ自治州がセルビアから分離独立しました。

 旧ユーゴスラビアの時代に、6共和国を一つの国にまとめ上げた政治家がチトーで、命日には、セルビアにある墓に多くの人が訪れます。

バルカン半島 分離独立の歴史バルカン半島 分離独立の歴史

セルビア共和国

面積:7.7万㎢ 首都:ベオグラード
人口:697.4万 通貨:ディナール
言語:セルビア語(公用語)、ハンガリー語、ボスニア語など
宗教:セルビア正教84.6%
隣接:ハンガリールーマニア、ブルガリア、北マケドニア、コソボ、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナクロアチア

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)