ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

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スイスってどんな国?

 スイスはアルプス山脈に位置し、ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、リヒテンシュタインに囲まれた内陸国です。

 4000m級の高山が連なり、スイスとイタリアの国境にあるマッターホルン(標高4478m)は、アルプスのシンボルとして有名です。

 首都はベルンですが、スイス最大の都市は北部のチューリッヒで、ロンドンやニューヨークと並んで、金融の世界的な中心地となっています。

 西部の都市ジュネーブは、スイス第2の都市で、国連欧州本部や世界保健機関(WHO)本部など、多くの国際機関の拠点が集まっています。

「スイスってどんな国?」2分で学ぶ国際社会

雄大な自然に恵まれた多民族多言語の国

 西ヨーロッパの大国に囲まれるスイスは、多民族・多言語国家で、中立政策の維持と国際協調が外交の基本となっています。1815年に永世中立が認められて以来、その姿勢を保っています。

 産業は、機械・化学・製薬など高度技術・高付加価値産業が中心で、酪農も盛んです。時計などの部品の多い精密機械の製造には、スイスの澄んだ空気と洗浄用のきれいな水が最適だといわれています。

 観光業も盛んで、特に氷河は重要な観光資源です。スイス中南部のアレッチ氷河は全長約24kmに渡り、美しい氷河と周囲の山々は、数多くの芸術作品に大きな影響を与え、世界遺産に登録されています。

 スイスは国際赤十字の発祥の地としても有名です。1859年にイタリア統一戦争で負傷した兵士が道端に放置されていたのを、その場にいたスイスの実業家アンリ・デュナンが救護し、これがのちの国際赤十字組織につながりました。

スイス

面積:4.1万㎢ 首都:ベルン

人口:845.4万 通貨:スイス・フラン

言語:公用語(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)
宗教:カトリック34.3%、プロテスタント22.5%
隣接:ドイツ、リヒテンシュタイン、オーストリア、イタリア、フランス

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)