ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1カ国ずつ世界の国を紹介する。
デンマークってどんな国?
デンマークは北欧諸国の中で最も南に位置し、平地の多いユトランド半島と、周辺の多くの島々で構成される国です。
海峡を挟んでスウェーデンと近接し、スウェーデンとはオーレスンリンクと呼ばれる道路鉄道併用橋及び海底トンネルでつながっています。南部はドイツと国境を接しています。
国土の約6割が農業用地で、国内で消費する食糧の約3倍の農業生産をあげるため、輸出の18.5%(2020年)が食料品です。
生産、加工、販売を行う農業協同組合の設立により、高度に組織化、効率化された農業生産が実現され、ハイテク化も進んでいます。
とくに酪農が発展し、チーズやバターは高い国際競争力をもっています。
クリーンエネルギーの活用が進む高福祉先進国
環境先進国として知られ、1973年の石油危機を契機に、輸入原油からクリーンエネルギーへの代替を進めた結果、海に囲まれた平らな国土を活かした風力発電が発展し、発電量の54.7%(2019年)が風力でまかなわれています。
また北海デンマーク区域で発見された油田(1981年掘削開始)から産出される原油と天然ガスが、エネルギー自給に貢献しています。
19世紀後半から社会保障や社会福祉制度が整備され、高福祉高負担の国家としても有名です。
国民は収入の約半分を税金として納め、消費税も25%と高い水準にあります。福祉に関する財源と決定権は地方にあるため、地域に密着した公共サービスが行われています。
「雪の女王」や「人魚姫」など数々の童話を生んだアンデルセンは、デンマーク生まれで、彼の作品はデンマーク語から160の言語に翻訳されています。
デンマーク王国
面積:4.3万㎢ 首都:コペンハーゲン
人口:589.4万 通貨:デンマーク・クローナ
言語:デンマーク語(公用語)
宗教:福音ルーテル派(国教)74.7%
隣接:ドイツ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)