ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1カ国ずつ世界の国を紹介する。
アイルランドってどんな国?
アイルランド島の北端、英領北アイルランドを除く同島の大部分を占め、セントジョージズ海峡を隔ててイギリスと接しています。
アイルランド人は、古代にヨーロッパ各地に広がっていたケルト系民族で、ウイスキーはケルト語で生命の水を意味するウスケボーが語源で、世界最古のウイスキーの産地でもあります。
19世紀半ばのジャガイモの疫病が原因で生じた大飢饉は、ヨーロッパ各地でジャガイモの収穫を減少させました。
住民の3分の1以上がジャガイモだけを主食としていたアイルランドでは、数十万人が死亡し、大量の移民がアメリカなどに渡りました。アメリカのジョン・F・ケネディ元大統領やウォルト・ディズニーなどはこの折に移住した人々の子孫です。
今も続く北アイルランド問題
1937年に新憲法を制定し、国名をアイルランドとしました。第二次大戦後の1949年に共和国として完全に独立し、英連邦を離脱しました。
住民のほとんどはカトリック教徒で、プロテスタントの多い北アイルランドはイギリス領に残ったため、カトリック系住民はアイルランドとの統合を求めて激しい運動を行っています。
1973年にEC(現EU)の正式メンバーとなり、1999年にユーロを導入しました。主要産業は金融、製薬、食料・飲料で、近年は堅実な経済成長を見せています。
アイルランド
面積:7.0万㎢ 首都:ダブリン
人口:522.5万 通貨:ユーロ
言語:アイルランド語(公用語)、英語(公用語)
宗教:カトリック78.3%
隣接:イギリス(北アイルランド)
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)