ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
北ヨーロッパ(北欧)ってどんなところ?
本書での北ヨーロッパとは、スカンディナビア半島を中心としたヨーロッパ北部の国々を指します。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド北部はスカンディナビア半島に位置します。フィンランド東部はロシアと国境を接しています。また、デンマークはユトランド半島と周辺の島々から成る国です。
スカンディナビア半島の中央部にはスカンディナビア山脈が走り、大西洋側には氷河の浸食作用によって形成されたフィヨルド(ノルウェー語で「入り江」という意味)が続いています。一方、バルト海に面した南側は、湖沼の多い平坦な地形です。
気候は、高緯度のために冷涼な亜寒帯気候が広がりますが、スカンディナビア山脈を隔てて西岸部や南部では暖流の北大西洋海流の影響で比較的温暖です。
北極圏の地域では、極寒の冬にはオーロラを見ることができ、夏には夜になっても日の暮れない白夜という現象が見られます。
8世紀頃から約300年にわたってヨーロッパの歴史に大きな影響を与えたバイキングは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンを拠点に海上からヨーロッパ各地に進出し、大陸文化を北ヨーロッパにもたらしました。
フィンランド以外の北ヨーロッパ諸国が立憲君主制であるのに対して、フィンランドは共和制であり、言語はウラル語族の国です。
充実した社会福祉制度と男女平等の国々
北ヨーロッパの国々では、医療や年金などの社会保障制度が整っている高福祉という共通点だけでなく、子育てや仕事が男女平等という点も国を支える柱となっています。
フィンランドは、国連が発表する世界幸福度ランキングで2018年から4年連続で第1位を獲得し、2019年には、当時34歳のサンナ・マリンが世界最年少の首相になりました。
ノルウェー、デンマークは国連の創設メンバーで、スウェーデンは創設翌年の1946年に、フィンランドは1955年に国連に加わりました。
国連を中心とした多国間協力を重視し、国連イラン・イラク軍事監視団などの国連PKO(平和維持活動)だけでなく、NATOやEUが主導する国際平和活動にも要員を派遣しています。
なおノルウェーはEUに未加盟で、ノルウェー、スウェーデン、デンマークはユーロを導入していません。
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)