●株式会社による病院経営

 日本では営利を目的とした株式会社による病院経営は法律で禁止されており、医療法人が経営を行う場合も「剰余金の配当をしてはならない」と決められている。診療報酬で得た収入から医療の材料費や人件費などの支出を差し引いて残った余剰分は全額、運営費として再投資されることになっている。

 こうした規制がなくなり通常の株式会社による病院経営が許されるようになると、患者の治療よりも株主への対応が優先される可能性も捨てきれない。株主に支払う配当を確保するため、本当に必要な治療を省略してコスト削減したり、反対に不要な検査や治療を行ったりするのではないかと心配する声もある。

 前述したように、日本の医療費は社会保険料や税金などで賄われているが、公費を使って特定企業の株主に配当を支払うことの是非も問われるだろう。

 さらには価格の決まった健康保険では稼げる利益に限界があるため、自由診療が勧められて患者の負担は増大する危険が指摘されている。

●混合診療の全面解禁

 日本では、健康保険が適用される「保険診療」と、適用されていない「自由診療」を同時に行うことが禁止されている。がんの治療などで一連の検査や手術の中に自由診療が入っている場合は、本来なら健康保険が適用される保険診療も含めて原則的に全額自己負担になる。

 こうした制度が「患者の自由な選択を阻害する」として、規制を求めているのが混合診療の全面解禁だ。これが実現すれば、医療機関や医薬品メーカーは、国の審査を受けていない治療や医薬品でも自由に利用できて、価格も言い値で設定できて、今よりも利益を上げやすくなるだろう。