ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
サウジアラビアってどんな国?
サウジアラビアは、アラビア半島の8割を占める広大な領土をもつ国で、国土の大部分は砂漠です。
オアシスにおける農耕のほかベドウィンと呼ばれる人々の遊牧生活が中心の地域で、イスラーム圏の中でも厳しい戒律を守る国とされます。
イスラームの2つの聖地メッカとメディナがあり、開祖ムハンマドが聖殿と定めたカーバのあるメッカには世界中から毎年300万人もの信者が巡礼に訪れます。
イスラームスンニ派ワッハーブ派の戒律に従い、飲酒や肉食、礼拝、断食、女性の行動等について厳しく規制された生活がなされています。
政教一致のもと国王一族による政治が行われ、憲法や国会はありませんが、1990年代以降、諮問評議会の設置や女性参政権の拡大に取り組んでいます。
国際的な石油需給に多大な影響力をもつ
石油は埋蔵量、生産量ともに世界トップレベルで、天然ガスも世界有数です。
豊富な資源を生かした国づくりを進め、石油収入による海水淡水化事業で砂漠に農地を造成し、食料の増産も可能になりました。
また石油輸出国機構やアラブ石油輸出国機構の中心的立場にあって、国際的な石油の需給に大きな影響力を持ちます。
イエメン内戦の際に軍事介入を主導するなど、ペルシャ湾岸諸国との協力関係や欧米との関係にも配慮しています。一方でイランとは対立関係にあります。
石油や外国人労働力に依存した経済からの脱却が課題です。
サウジアラビア王国
面積:215.0万㎢ 首都:リヤド
人口:3478.4万 通貨:サウジアラビア=リヤル
言語:アラビア語(公用語)
宗教:イスラーム(国教、スンニ派85-90%、シーア派10-15%)
隣接:クウェート、イラク、ヨルダン、イエメン、オマーン、UAE、カタール
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)