ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
カタールってどんな国?
カタールは、アラビア半島の東、ペルシャ湾に突き出たカタール半島に位置する首長国です。半島のつけ根は、サウジアラビアと国境を接しています。
国土は砂漠で植生も乏しく、全土が海抜100m以下の標高にあります。
18世紀から19世紀にかけてアラビア半島内陸部の民族が移住してきた後、19世紀にサーニ家一族を君主とする首長国になりました。
20世紀にはイギリスの保護下に入っていましたが、1971年に独立しました。対米関係を重視しつつも、ペルシャ湾を挟んで対岸に位置するイラン等との関係にも配慮した外交方針をとっています。
オイルマネーで世界トップレベルの国民所得
1940年代に発見され開発されてきた石油資源によって国づくりを進めてきました。現在は石油資源の枯渇を視野に入れて、石油化学等の産業育成や、世界有数の埋蔵量を誇る天然ガス開発に重点を移しつつあります。
一人当たり国民所得は世界トップレベルで、国民の医療や教育は無償です。豊かな国家財政を背景にして、南アジア諸国等からの外国人労働者が集まり、人口の9割を占めるようになっています。
それにともない、人口構成では生産年齢人口が85%を占め、また男性の人口割合が女性に対して非常に高いなどの特徴が見られます。
近年は、高級リゾート開発や、国際会議、サッカーワールドカップ開催など、国の存在を世界に示すことにも積極的に取り組んでいます。
カタール国
面積:1.2万㎢ 首都:ドーハ
人口:248.0万 通貨:カタール=リヤル
言語:アラビア語(公用語)
宗教:イスラーム65.2%、ヒンドゥー教15.9%、キリスト教13.7%
隣接:サウジアラビア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)