ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
イランってどんな国?
イランは西アジアに広い国土をもつ国で、東にアフガニスタンやパキスタン、西にトルコやイラクなど、合わせて7カ国と国境を接する国です。北はカスピ海、南はペルシャ湾に面します。
国土の大半は山岳や高原です。気候は乾燥し、広大な砂漠も見られます。北部のエルブールズ山脈周辺では、大規模な地震が頻発し、大きな被害を経験しています。
経済は、世界屈指の埋蔵量を持つ石油と天然ガスの輸出に支えられています。
農業や畜産業が盛んで、ナツメヤシやトマト、リンゴやブドウなどの果実生産は世界有数です。山岳地帯で得た水を途中で蒸発させずに農地や集落まで運ぶ「カナート」(地下水路)が利用されています。
イスラーム・シーア派の大国
国民の多数はペルシャ人ですが、アゼルバイジャン人やクルド人も多く住む国です。
20世紀に入ってイギリスの保護国から王国へと移り、1935年に国名をペルシャからイランに変更しました。
1963年に脱イスラームを目指す「白色革命」が起こりましたが、この国の多数を占めるイスラームシーア派の宗教勢力は、1979年に「イラン革命」を起こし、イスラーム指導者が権力を握ることになりました。
そこで盛り上がった反米運動と1979年のアメリカ大使館人質事件により、対米関係は悪化します。また翌年から8年間、イラクとの戦争が続きます。
欧米との関係悪化を背景にウラン濃縮活動を進め、一度は主要国との核問題協議で合意しましたが、アメリカの合意内容からの離脱を契機に再びウラン濃縮活動を進めています。
イラン・イスラーム共和国
面積:164.8万㎢ 首都:テヘラン
人口:8588.9万 通貨:リアル
言語:ペルシャ語(公用語)、アゼルバイジャン語、クルド語など
宗教:イスラーム(国教)99.6%(シーア派90~95%、スンニ派5~10%)
隣接:トルクメニスタン、アフガニスタン、パキスタン、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコ、イラク
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)