ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
タジキスタンってどんな国?
タジキスタンは中央アジアに位置し、北部はキルギス、西部はウズベキスタン、東部は中国、南部はアフガニスタンと国境を接する内陸国です。
国土の大部分は、東部の「世界の屋根」と呼ばれるパミール高原とそれに連なる山脈・高原からなり、平均高度は約3000mと世界で最も標高の高い山岳国家です。
民族は他の中央アジア諸国とは異なり、ペルシャ系民族のタジク人(約80%)が多数を占めます。
1991年のソ連解体に伴って独立を果たしましたが、1992年からタジキスタン共産党系政府とイスラーム系を含む野党反政府勢力との間で内戦が勃発。国内情勢の混乱は1997年まで続き、約120万人の難民を出したといわれています。
その後も、隣接するアフガニスタン情勢が安定せず、テロや武器・麻薬の流入など深刻な問題を抱えています。
タジキスタンはキルギスと並び低所得国であり、ロシアなど周辺諸国への出稼ぎ労働者の海外送金がGDPの約3分の1を占め、国の経済を支えています(2017年)。
綿花栽培とアルミニウム生産
主要産業は綿花栽培とアルミニウム産業です。綿花栽培は、ソ連時代の計画経済下、シルダリア川などの主要河川に整備された灌漑施設により大規模栽培が可能となり、現在も重要な輸出産品となっています。
アルミニウムは、パミール高原の豊かな水資源を利用した水力発電により得られる安価な電力で精錬を行い、総輸出額の半分以上を占めています(2017年)。なお、アルミニウムの原料であるボーキサイトは国内で産出しておらず、輸入しています。
タジキスタン共和国
面積:14.4万㎢ 首都:ドゥシャンベ
人口:899.1万 通貨:ソモニ
言語:タジク語(公用語)、ロシア語
宗教:イスラームスンニ派95%、シーア派3%
隣接:ウズベキスタン、キルギス、中国、アフガニスタン
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)