米中両国は2018~20年に相互に関税を発動するなど、1930年代以来最大となる貿易戦争を繰り広げた。その結果、金融市場に混乱をもたらし、世界経済のリセッション(景気後退)入りが危ぶまれた。それ以降、米中の貿易戦争は数々の経済研究のテーマとなっており、両国で政治的パフォーマンスにも利用された。誰が勝利したのか? その答えは驚くほど複雑で、関税を武器のように振りかざそうとしている諸国に重要な教訓を提供する。貿易戦争は双方のコストを押し上げるため、勝者は存在しないというのがエコノミストの一般的な考えだ。それが正しいなら、戦争を仕掛けた米国は勝利を得ないことで敗北したことになる。米国は経済政策の変更を迫るため、最終的に中国からの輸入品の75%に関税を発動した。