さよなら、スエットパンツ。こんにちは、ドレスパンツ。アパレル小売企業の最近の業績発表から読み取れる明らかな兆候は、顧客がようやく「大人」の服装に回帰し始めているということだ。だが、こうした企業が引きつける顧客側と同様、企業側にも「持てる者」と「持たざる者」が存在する。インフレの打撃を受ける度合いは、手頃な価格のブランドよりも高額商品を扱うブランドの方がはるかに小さいのだ。米衣料小売り大手ギャップの保有ブランドのうち、仕事向けのドレッシーな服を販売する「バナナ・リパブリック」の2-4月期の売上高は前年同期比24%増だった。一方で、低価格の普段着を中心とする「オールドネイビー」は、自ら招いた在庫トラブルもあり19%減となった。バナナ・リパブリックの女性用スーツ、ワンピース、スカートの売り上げは62%増え、男性用スーツの売り上げは2倍近くに増加した。同業アーバン・アウトフィッターズでも、傘下の高価格帯ブランド「アンソロポロジー」と「フリーピープル」の直近四半期の業績は、社名にもなっている若年層向けブランド「アーバン・アウトフィッターズ」よりもはるかに良好だった。