ウクライナ全土の農民たちは、機雷を避け、爆撃された橋を渡り、酷使された港湾で危険な行動を取ってまでロシアの封鎖をかいくぐり、深刻な供給不足に直面する世界の市場に穀物を届けようとしている。しかし農家や政府当局者によると、こうした努力にもかかわらず、ウクライナのインフラは逼迫(ひっぱく)しており、6月の収穫開始後に扱いが予想される3000万トンのトウモロコシ、小麦、ヒマワリ油に対処できる見込みはほとんどない。輸出される収穫は全体の半分に満たない可能性が高く、世界の穀物輸出の8%超が失われ、食料価格をさらに押し上げ、供給不足を悪化させる恐れがあるという。ロシアがウクライナの港湾を占拠し、黒海周辺の船舶の航行を阻止したことで、通常ならウクライナ産の穀物のほぼ全てが輸送されるルートが閉ざされた。このため、穀物は自動車や列車でウクライナ西部の国境まで運ばれるか、ドナウ川を下ってルーマニアで船舶に積み込まれている。