ジョー・バイデン米大統領は最近、電気自動車(EV)の動力として必要な鉱物の供給を増やし、米国の石油依存度を減らすため、国防生産法(DPA)を発動した。しかし、この大統領令による歓迎すべき措置があっても、米国はニッケルなど一部の鉱物を十分に生産することができない。米国はこうした重要な資源を、信頼できず、しばしば敵対的な外国が管理する供給源に頼らなければならない。代替案がある。それは、政治的に安全で、経済的に実行可能かつ生態学的に責任の持てる方法を見つけ、深海を含む他の場所で鉱物を入手することだ。ニッケルは現在、EV用電池にとって、走行距離を左右する最も重要な金属だ。世界の電池用ニッケルの需要は2040年までに20~25倍も急増すると予想されており、市場アナリストらは2~3年以内に大幅な供給不足が発生するとみている。ロシアは電池に利用可能な「クラス1」等級のニッケルの最大供給国の一つだ。また、中国系資本が他のアジア地域でのニッケル生産を支配しており、そのほとんどはフィリピン・ニューカレドニア・インドネシアの熱帯雨林の地下で採掘される。