ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

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キプロスってどんな国?

 キプロスは、地中海東部の島国で、面積は四国の約半分です。

 紀元前から交通の要衝です。アフロディーテ(ヴィーナス)が生まれたとされ、ギリシャ、ペルシャ、ローマの支配下にあった時代の遺跡が多数存在します。

 16世紀からオスマン帝国の領土となっていましたが、19世紀にイギリスが統治権を獲得し、20世紀に入ってから植民地になりました。

 住民はギリシャ系とトルコ系が多く、1960年の独立に際してはギリシャとトルコが介入しました。

民族対立で首都が南北に分裂

 独立後、両民族の対立による内戦が始まり、国連平和維持軍が駐留しました。

 1974年にギリシャ系によるクーデターをきっかけにトルコ軍も侵攻した結果、ギリシャ系の多い南部がキプロスであることに対して、北部には北キプロス=トルコ共和国が設立されました。しかし、北キプロスを国家として承認している国はトルコだけです。

 南北の境界線には、国連によってグリーンラインと呼ばれる緩衝地帯が設けられました。

 首都ニコシアはグリーンライン上にあって南北に分断されており、両国が首都に指定しています。

 島全域が地中海性気候の下で、果樹栽培や牧畜が伝統的に行われています。ただ現在、キプロスは東地中海地域の金融センターとしても観光地としても成功しており、北キプロスとの格差は拡大しています。

キプロス共和国

面積:9251㎢ 首都:ニコシア
人口:128.2万 通貨:ユーロ
言語:南はギリシャ語(公用語)、北はトルコ語(公用語)
宗教:南はギリシャ正教、北はイスラーム

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)