ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
オマーンってどんな国?
オマーンは、アラビア半島南東部に位置する国です。西側は、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イエメンと国境を接します。
北端はペルシャ湾の出入口であるホルムズ海峡に面し、海峡に突き出た半島の先端に飛地もあります。
国土のほとんどは砂漠ですが、アラビア海に面する南部ではインド洋から吹くモンスーンの影響で降雨があります。
紀元前にアラビア人が南下して定住し、海洋交易で栄えた歴史をもつ国です。18世紀には東アフリカやパキスタンの沿岸部まで領土を広げましたが、やがて帆船による交易が衰退し、スエズ運河の開通によってその役割は低下しました。
19世紀末からは、イギリスの保護を受けながら鎖国政策をとっていました。1970年、皇太子がクーデターにより即位して開放政策に転換すると、翌年には国連に加盟しました。
ペルシャ湾岸諸国との関係を重視しアメリカとも協力関係を維持しています。イスラーム法に基づく王制の国ですが、1990年代から議会の設置や普通選挙の実施など政治改革や民主化政策が行われてきました。
1964年の石油発見によって、農業と牧畜が中心の経済から石油や天然ガスの輸出を主力とする経済に移行しました。現在は、石油依存経済からの脱却を目指しています。
国民のうちインド・パキスタン系及びアフリカ系が約半数を占め、労働力を外国人に依存している状況に対して、オマーン人の雇用促進政策を進めてきました。
オマーン国
面積:31.0万㎢ 首都:マスカット
人口:369.5万 通貨:オマーン=リアル
言語:アラビア語(公用語)、英語
宗教:イスラーム85.9%
隣接:UAE、サウジアラビア、イエメン
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)