ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
エジプトってどんな国?
エジプトは、アフリカ大陸の北東端、西アジアと接する位置にある国です。リビア、スーダン、イスラエル、パレスチナと国境を接しています。
国東部の砂漠を南北に貫流し河口に広い三角州をつくるナイル川周辺に、多くの都市があります。ナイル川周辺を除き、国土のほとんどは砂漠です。
紀元前に古代王国が繁栄した後、ローマ帝国やオスマン帝国の支配を受けてきました。
19世紀にイギリスの支配下に入り、1922年に王国として独立。第二次世界大戦後、近代化を目指すクーデターによって共和制へと移行しました。
地中海と紅海を結ぶ要衝であり、19世紀半ばに開通したスエズ運河の国有化や、ナイル川の治水と灌漑のためにつくられたアスワンハイダムの計画はこの頃から始まりました。
また、アラブ諸国のリーダーとしてパレスチナ問題にも関わり、中東和平に重要な役割を果たしてきました。
しかし内政では、1980年代から続いた独裁政権が2011年に崩壊し、その後も不安定な政情が続きました。
国の経済を支えているのは、主に石油輸出と古代遺跡の観光による収入、スエズ運河通航料です。ただ、政情不安やテロの影響で観光収入は減少しました。貿易相手国は、EU諸国、次いでアラブ諸国となっています。
食料自給は達成できていませんが、穀物や野菜、果実を生産し、ナツメヤシの生産量は世界一です。
エジプト・アラブ共和国
面積:100.1万㎢ 首都:カイロ
人口:1億643.7万 通貨:エジプト=ポンド
言語:アラビア語(公用語)、英語、フランス語
宗教:イスラーム(主にスンニ派)90%、キリスト教10%
隣接:リビア、スーダン、イスラエル、パレスチナ(ガザ地区)
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)