ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
アルバニアってどんな国?
アルバニアはバルカン半島の南西部に位置する国です。
国土の北側から東側にかけてはモンテネグロ、コソボ、北マケドニア、ギリシャの4ヵ国と隣接し、西側はアドリア海に面しています。
海抜1000m以上の山岳が多く、海岸近くの山間に盆地と広い河谷があります。
アルバニア人の祖先はインド=ヨーロッパ語族で、バルカン半島の先住民である古代イリュリア人で、長くオスマントルコの支配下に置かれ、アルバニア人の多くがムスリムになりました。現在も国民の半数以上はムスリムです。
1912年に独立し、第二次大戦後は共産党(労働党)の独裁が続きましたが、東欧革命の影響で1990年に一党支配の終結が宣言されました。
国際社会への復帰を目指し、経済の復興を進めましたが、市場主義経済に移行した際にネズミ講式投資被害が全土に拡大しました。1997年住民が武装蜂起し騒乱状態となりましたが、同年6月の総選挙で、社会党を中心とする連立政権が成立し、ネズミ講に端を発した騒乱は収束を見せました。
ヨーロッパの最貧国の一つで、鉱産資源の多くは未開発です。農業は地中海性気候に適したオリーブやぶどうなどが栽培され、工業は衣類を中心とした軽工業が主体です。
対岸のイタリアが最大の貿易相手国で、ユーロ圏への輸出と出稼ぎ労働者からの送金に依存しています。
アルバニア共和国
面積:2.9万㎢ 首都:ティラナ
人口:308.8万 通貨:レク
言語:アルバニア語(公用語)、ギリシャ語、ヴラフ語など
宗教:イスラーム56.7%、カトリック10%
隣接:モンテネグロ、コソボ、北マケドニア、ギリシャ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)