ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

パレスチナの分離壁 Photo: Adobe Stockパレスチナの分離壁 Photo: Adobe Stock

パレスチナ自治政府はどんな地域?

 パレスチナ自治政府は、イスラエル領にあるガザ地区及びヨルダン川西岸地区の2ヵ所が領域です。ガザ地区は地中海に面して西側はエジプトに接し、ヨルダン川西岸地区はヨルダンと隣接しています。

 16世紀からオスマン帝国の支配下にあり、第一次世界大戦でオスマン帝国が崩壊すると、イギリスはこの地におけるアラブ人国家樹立の支持を表明します。一方で、ユダヤ人の国の建設にも協力することをユダヤ人に約束していました(バルフォア宣言)。

 第二次世界大戦後、国連はパレスチナをアラブ人とユダヤ人それぞれで分割する案を提示しましたが、パレスチナ側が反対したため、ユダヤ人は一方的にイスラエルとして独立し、多くのパレスチナ人は難民として逃れることになりました。

 ここからイスラエルとアラブ各国との中東戦争が始まり、1964年に創設されたパレスチナ解放機構は、イスラエルの攻撃や占領に対してインティファーダと呼ばれる闘争を展開しました。

 1993年に和平合意がなされ、暫定自治政府が設立されましたが、その後も戦闘は続き、2002年以降、イスラエルによって自治区の境界に長大な分離壁が建設されています。

 主産業は農業で、必需品はイスラエルからの輸入に頼っていますが、経済封鎖等による物資不足や失業が住民の生活を苦しめています。

パレスチナ問題の歴史パレスチナ問題の歴史

パレスチナ自治政府

面積:6220㎢ 本部:ラマッラ
人口:490.6万 通貨:新シェケル
言語:アラビア語
宗教:イスラーム(スンニ派)が多数
隣接:イスラエル、ヨルダン、エジプト

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)