ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「ジブラルタルってどんなところ?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

ジブラルタルってどんな場所?

 ジョン・レノンとオノ・ヨーコが結婚式を挙げたことでも知られるジブラルタルは、イベリア半島の南東端に突き出した小半島を占め、南北に5km、東西に1.2kmの領域を持ちます。

 東は地中海、南はジブラルタル海峡、西はジブラルタル湾に面します。北側は低地で、スペイン本土のアンダルシア州ラリネア・デ・ラ・コンセプシオンと砂州でつながる陸繫島となっています。

ヨーロッパに残る最後の植民地

 ジブラルタルは、アフリカ大陸を対岸に望み、地中海の出入口を押さえる戦略的要衝です。軍事上・海上交通上重要視され、「地中海の鍵」と呼ばれてきました。現在もイギリス軍が駐留しています。

 半島の大半を占める高さ426mの石灰岩と頁岩から成る岩山は「ザ・ロック」と呼ばれ、古代より西への航海の果てにある「ヘラクレスの柱」の一つとして知られてきました。

 鍾乳洞が山の中腹にあり、見学コースの途中には、世界的にも珍しい鍾乳洞の空間を利用したコンサートホールがあります。

 1713年のユトレヒト条約以降、イギリスが統治を続けてきましたが、スペインは今も返還を求めています。ジブラルタルはヨーロッパに残る最後の「植民地」であり、係争が300年もの長きにわたっている点で、世界の領土問題のなかでも異色の存在といえます。

ジブラルタル

面積:7㎢ 人口:3.0万
通貨:ジブラルタル・ポンド
言語:英語(公用語)、スペイン語
宗教:カトリック72.1%

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)