ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。大人の教養として世界の国々を知ろうと思った時におすすめ1冊が、新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

エルサレム Photo: Adobe Stockエルサレム Photo: Adobe Stock

イスラエルはどんな国?

 イスラエルは、地中海に面する西アジアの国です。西側は広く地中海に開けており、南端は紅海に続くアカバ湾にわずかに面しています。

 アラブ人とイスラーム文化圏に囲まれた島のようなユダヤ人の国家で、エルサレムには、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム、3つの宗教の聖地があります。

3宗教の聖地エルサレム:

エルサレムには、聖墳墓教会(キリスト教)、嘆きの壁(ユダヤ教)、岩のドーム(イスラム教)がある。

イスラエルとはパレスチナは、なぜ対立しているのか?

 紀元前に栄えた王国が滅亡した後、ローマ帝国の支配のもとでユダヤ人は世界各地へ離散したとされます。

 19世紀からシオニズムと呼ばれる祖国復帰運動が盛り上がり、第一次世界大戦中に、パレスチナを統治していたイギリスがユダヤ人の国家建設支持を表明しました。

 第二次世界大戦後、国連でパレスチナにユダヤ人の国とアラブ人の国とに分割する提案がなされ、ユダヤ人の国としてイスラエルが創設されました。しかしアラブ側は強硬に反対し中東戦争が勃発し、それは1973年の第四次まで続きました。

 その後エジプトやヨルダンと平和条約を結びましたが、中東戦争で獲得したゴラン高原の占領を続けています。

 1993年には、パレスチナ自治区の暫定自治について、パレスチナ解放機構と合意しましたが(オスロ合意)、その後も双方の衝突は続き、事実上オスロ合意は崩壊しています。

 資源の少ない中にあって、ダイヤモンド加工や情報通信、精密機械、医薬品等、高度な科学技術を生かした産業を展開しており、国民の生活水準は高くなっています。

パレスチナ問題の歴史パレスチナ問題の歴史

イスラエル国

面積:2.2万㎢ 首都:エルサレム(多くの国は認めていない)
人口:878.7万 通貨:新シェケル
言語:ヘブライ語(公用語)、アラビア語(公用語)、英語
宗教:ユダヤ教74%、イスラーム18%
隣接:レバノン、シリア、ヨルダン、パレスチナ

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIAのThe World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)