コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は中外製薬や武田薬品工業などの「製薬」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
中外製薬が
前年同期比で2倍超の大幅増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製薬業界4社。対象期間は22年1~3月の四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・中外製薬
増収率:113.6%(四半期の売上収益3606億円)
・武田薬品工業
増収率:13.4%(四半期の売上収益8733億円)
・第一三共
増収率:4.6%(四半期の売上収益2339億円)
・アステラス製薬
増収率:マイナス1.5%(四半期の売上収益3039億円)
製薬4社では中外製薬、武田薬品工業、第一三共が前年同期比で増収、アステラス製薬が減収となった。
増収組の中でも中外製薬は、前年同期比で2倍超の大幅増収だ。この要因は何だったのか。そして実は、超好決算をけん引した要因には、今後の業績を大きく下振れさせかねない「死角」もある。
次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、中外製薬の増収要因とその死角について詳しく解説する。