ダイヤモンド決算報#製薬Photo:PIXTA

コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかし、ビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大塚ホールディングスやエーザイなどの「製薬」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

製薬5社すベて
前年同期比で増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製薬業界5社。対象期間は22年1~3月の四半期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・大塚ホールディングス
 増収率:12.9%(四半期の売上収益3803億円)
・エーザイ
 増収率:29.3%(四半期の売上収益1909億円)
・協和キリン
 増収率:8.2%(四半期の売上収益878億円)
・塩野義製薬
 増収率:58.8%(四半期の売上収益1155億円)
・小野薬品工業
 増収率:21.0%(四半期の売上収益899億円)

 製薬5社すベてが、前年同期比で増収。さらに協和キリンを除く4社が2けた増収だった。

 中でも特筆すべきが塩野義製薬で、約6割の増収となった。塩野義製薬の増収率の時系列推移を見ると、20年4〜6月期から7四半期連続の減収に陥っていたが、22年1〜3月期でプラスに転じた。この要因は何だったのか。その背景には、製薬会社ならではの特許を巡る悲喜こもごもがあった。

 次ページ以降では、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、塩野義製薬の増収要因について詳しく解説する。